メーカーの苦悩と光
今年の冬、「大手電力会社が続々と、値上げを経産省に申請・・・」報道やSNSで電気料金の高騰が話題になっています。
苦労されている企業も多いのではないでしょうか。
当社でも、2022年秋、工場の電力(新電力)を契約している会社の担当者から「2023年1月から1年間の電気代が198%になる見込みです」と衝撃的な見積もりを提示されました。
もちろん、新電力会社の担当者は、丁寧にその理由の説明し、自分たちではどうしようもできない、大変申し訳なく思っている。契約を終了することも可能であるとおっしゃっていました。
東京電力など大手電力会社も、2023年4月に託送料金の値上げがあり、更に6月から電力料金が約30%UPすると聞いているので、世界情勢や為替を考えると、いたしかたないのかもしれません。
しかし、値上げは電力だけではありません。他にも、2022年はさまざま資材が値上がりしました。私たちは国内に工場を有し、材料も国産を多く使用しているので、海外から直接仕入れをしている企業よりは影響が少なかったかもしれませんが、それにしても、生地、原綿(綿の原料)、糸、針。木製台車の部門では、板、キャスター、ネジ、ナット。梱包用の紙やテープに至るまで、数え上げたらキリがありません。
そこへきて電力料金の大幅な値上げ。「もう、モノづくりはできないのではないか」という不安と怒りの入り混じった感情になったのも事実です。
さらに、中小企業の抱える課題は他にも数多くあります。
設備の老朽化、人口の減少に伴う将来的な労働力不足、災害や感染症の対策。
「モノづくりへの自信を無くしてしまう」そんな現実です。
そこで原点へ返って、改めて私たちの「役割」は何だろうかと考えてみました。
社会貢献や、SDG’sといった仰々しいことは、横に置いて!
1つは「お客様の困った」を解決することにあると思います。
1982年「フィットカバーの開発」で、引越の現場や、家具や家電の配送作業を飛躍的に効率化できたと自負しています。このような製品を今後も開発していきたいと考えています。また一方で、1件1件のお客様の事案に添ったオーダーメイド対応が、柱になっていくでしょう。
たとえば、国立科学博物館の展示台。全国の展示会場を巡回するために輸送したいが、とても変わった形で、しかも1つ1つ形が異なる約20種類の台のため、養生・梱包に頭を悩ませていました。そこでJキルトで、形に合わせた専用カバーを作り、中身がわかるようにナンバリングのタグも付けました。1つの困りごとが解決できたと思います。
もう1つの役割は、小規模な材料メーカーと大手企業の懸け橋になること。今年10月にインボイス制度が導入されます。まだ不確実な情報も多いですが、年商1000万円までの免税事業者が、大企業と取引しづらくなるのではないかと言われています。
私たちの取引会社には、小規模な企業もありますが、みなさん独自のノウハウや技術を持っていて、素晴らしい製品を生み出しています。私たちはこの製品と企業に価値を感じ、インボイス制度導入後も、きめ細かく対応し、取引を続けていきたいと考えています。そして、アサヒのお客様である大企業へも当社の製品を通じてその技術力を提供し続けたいと思っています。
そして、会社の一番の役割として重要なのは、社員とその家族、そして地域の安心を支えることにあります。
不確実性の時代と言われる中、いろいろ準備しながらも常に不安がつきまといます。
まずは1つ1つ丁寧に目の前の課題をクリアしていくこと、そしてその結果を検証し次へつなげることが大切だと感じています。
もちろん、広い視野で全体を見渡たし、未来の進むべき方向を見極めることも、とても大事です。今年これから「未来を見つめるミーティング」を定期的に開催することにしました。ワクワクする未来をイメージして、どうやって皆でそこへたどり着くか。考えるだけで今からワクワクが止まりません。
どんなに辛い現実も、大変な苦労も信頼できる仲間と共に乗り切って、笑顔で新しい時代を駆け抜けていきたい!
M・N