【キルトStudyプラス】「編み物とキルト・ヘリテープ」

【キルトStudyプラス】「編み物とキルト・ヘリテープ」

 寒い季節になると、編み物を始めたくなります。
手芸店などには一年を通して毛糸が売られていますが、やはり秋冬になると糸の種類も増えて色とりどりになりうれしくなります。

私はアサヒも前職も縫製の仕事をしていますが、趣味で編み物を長年してきました。
毛糸売り場に立ち寄ると色々な毛糸を見比べながら、個の糸ならマフラー、個の糸でバッグを作ったら素敵かも!・・・と想像して楽しんでいます。糸の色の組み合わせや模様、編みの組み合わせで、どのような編地の表情が出てくれるかは編んでからのお楽しみなんです。

ある程度出来上がりをイメージしながら編み始めても、出来上がってみたら思っていたより派手な感じに仕上がったり、あまり期待していなかったのに思いのほか良い感じに出来上がったり・・・(笑)
私はよくかぎ針編みをするのですが、かぎ針編みは棒編みより編み直しが容易なので、編み途中から違う模様を入れてみようというような、予定変更も可能です。編みながら出来た編地をみて、コレは帽子にしたらかわいいかも!というような路線変更も楽しさの一つです。

 さて、私のお仕事はキルト製造の中でもキルト生地にフチ仕上のテープを縫い付けていく「バインダ班」がメインの仕事になります。製造では予定変更よりも段取りをして予定を守ることの方が大切になってきます。フチテープを縫製した後も、目飛びを直したりする仕上作業、専用タグを付けたり、ベルトやマジックテープを付けるものもあったりと、製品の完成には工程が複数あります。

その中でも、最近は差別化や毎年マットの新規入れ替えをするときに、新旧を見分けるためなどの理由で、テープの色を変えるオーダーが増えてきました。
バイアステープという種類のフチがノンスリップマット類を中心に箱型の特注やカバー類に使用されています。このバイアスとは折り目に対して斜めに切った生地のことで、45度の角度でスリットカットしてつなぎ合わせているテープです。
なぜそのような加工をするかというと、角の包み込みをし易くするためであり、中綿をしっかりと包み込むためです。バイアスカットした生地はストレッチ性が生まれ多少の伸びが出来るようになります。そのため、厚みのあるキルトの角をしっかりと包んで、中綿や生地がはみ出さないように縫製できるのです。ストレートテープは直線を縫うと綺麗ですが、角を曲がることはできません。そのため、折り込んで90度の直角を出しています。

 当社では厚みのあるノンスリップや縫い合わせて立体にするキルトなどはバイアステープを使用するようにしています。お客様の注文の商品一つ一つを実際に使うところを想定しながら、その用途に一番合った材料で、的確な縫製技術で製品を生み出し、少しでも早く手元にお届けできるように日々頑張っています。
まだまだ勉強することが多く、先輩たちのお力を借りながらですが、成長している2年目の私。編み物の如く一目一目編み進めて、技術と経験、強い信頼関係の絆を重ねて、アサヒという大きな編み物を世界に発信していけたらいいなと思っています。

Y・Mさん