【フカボリ企画VOL.10】我々のクラフツマンシップ~木製台車編~

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突然ですが、みなさんは「台車(だいしゃ)」というと、どのようなものを想像しますか?
一般家庭では見かけることは少ないと思いますが、取手のついた手押しの台車や樹脂やプラスティック製の台車、連結して使える台車など、職場や運送業者の方が使っているのを見かけたり、実際に使うことがあるものが思いつくのではないでしょうか。

今回はアサヒが自社で組み立てや販売をしている「木製平台車」のお話です。
業界では「平台車」と呼ばれています。この台車は木製の板とキャスターのみで構成され、本体以外の取手や連結金具などが付いていない台車のことを指します。

大型の荷物や重量物などを運ぶときには欠かせないもので、配送現場や引越作業などで大活躍しています。
それではアサヒの台車の優れているところ紹介します。

他社品と比較してまず一番に違いの分かるところは「耐久性」です。

1.キャスター耐久性
台車で最も重要なパーツである「キャスター」。アサヒはキャスターにこだわり、内部に使われているベアリングがしっかりしていて車輪を支えるプレートも厚くて大きいものを使用しています。

※タイヤは跡のつきにくいカーボン不使用のノンカーボン・ノンマーキングタイヤを使用。

特にベアリングはキャスターの中でも「要」の部品でいわばエンジンです。
車輪の旋回時に働く重要なもので、ここが弱いものだと重いものを載せたときに動きが悪かったり、壊れてしまうものもあります。
アサヒで選定したキャスターのベアリングは旋回部がダブルボールレースという構造で、限界領域の負荷荷重下において安定した旋回性能を長期間維持できるものです。
残念ながらキャスターの外側から中身の部品であるベアリングは見ることができませんが、持ってみるとズッシリとした印象で軽さや安価を売りにしている「それ」とはまったく違った質感も感じられます。
作業現場ではあらゆる環境において様々な荷物を載せて使うので、繰り返し使っても高い耐久性が求められるのです。

2.組付けボルト・ナットの耐久性
組付けに使っているボルトやナット部材にもアサヒにはこだわりがあります。
使用するボルトはモデルにもよりますが、直径約8mmと10mmの皿ビスで、特に100φキャスター様に使用している直径約10mmのタイプは過去に200Kg以上もあるピアノ等の重量物を輸送する場合で使用した際、片側を浮かした2輪だけの状態でも取り付け部の強度が保たれるほどの強度の高い実績のあるネジです。

キャスターの取付穴には「すり鉢状」にザグリをつけ、ネジの頭が飛び出て荷物を傷つけたりしないよう荷台より低い位置でシッカリと締め上げています。緩みが出ないように目止め液をネジ一本ずつに付けることもこだわりの一つです。
このすり鉢状の加工はクルマのホイールを留めているボルトやナットにも同じ加工がしてあり、このことで長年、過酷に使用された環境下でもキャスターが外れたり緩んだりしにくく安定した性能が保たれるのです。

3.荷受け板の耐久性
木製板にはアサヒが厳選したラワン材合板を使用しています。
安価なやわらかい輸入ユーカリ材より腐食しにくく高負荷に耐えうるもので、18mm厚の場合は9mm厚の板を2枚貼り合わせしており、単に1枚物の板より表裏それぞれの面に良質な板面が良いとこ取りで使用できるよう工夫されています。
耐荷重も約200~300kg程度有し(※均等荷重の場合で個体差は除く)、重量物を載せた時の割れや変形、反り、歪みに強く、キャスターとの相性も良く、高い耐久性を誇ります。

また、ササクレがしにくく持ち手や板のヘリの部分は優しくしっかり手に馴染むような面取りを行い、角のR加工を最少にして荷物が目一杯載せられるようにするなど熟練した職人が細部に丁寧に加工しています。

そのほかの特長として、自社工場での組み立てが出来ることで下記のような様々なご要望にお応えすることが可能です。

・板のオーダーサイズ
・塗装、企業ロゴ、社名、ロット番号等の名入れ印刷
・板表面(積載面)のフェルト、ゴム貼り
・ストッパー付きキャスターの使用や6輪や8輪など追加キャスター取り付け
・板や建物等への傷つき防止のためのコーナーゴム、ウレタンバンパー取り付け

これらのオーダーはネット販売やホームセンターの既製品にはないお客さまの個別ニーズに対応できる大きなベネフィットです。また、アサヒの製品をお買い求めいただく醍醐味でもあります。
過去の事例として精密機器やコピー機、特殊な映像や音響機器等の配送時などに使用する台車で、その企業のオリジナル仕様の製作や既製品では販売されていない、また他社で製作を断られた場合などで特に喜ばれ重宝してもらうことも少なくありません。

おわりに。
お客様のニーズや使いやすさを求めて進化をしてきたアサヒの木製台車ではありますが、刻々と変化してゆく時代や要求に敏感に応え続け、これからもバージョンアップしてゆかなければなりません。
配送や輸送現場、物流業界における環境は大きく様変わりを遂げ、女性の活躍や少子高齢化等による労働人口の減少、安全に対する考え方の変化、コンプライアンスなど物流資材や機材もこれらに対応してゆくために理想への追求はとまりません。
将来は樹脂など軽量な素材でありながら、金属のような耐久性があり、また使用しないときには手のひらサイズに畳めてポケットなどに入り、大きいものを載せるときには連結して大きく使えて・・・など多機能化してゆくかもしれません。
昨今では電動化やAI技術の進歩も目を見張るものがあり、個人的には自動で高さが変えられるエアサス台車とかあったらいいなと思ったりしています。

シンプルでありながら奥が深い「台車」。
これからも安全で使いやすく耐久性に優れた「プロ仕様の台車」を目指すべく、愛用していただいている皆様からのご支援やご意見に耳を傾け製品づくりをしていきたいと思っています。

H.Hさん