【キルトStudyプラス】「ロックの不思議」

【キルトStudyプラス】「ロックの不思議」

当社の主力商品、アサヒの顔と言ってもいい「フィットカバー」を作る為の工程の一つに、ロックという作業があります。ロックをするミシンを「ロックミシン」と言い、一目ではどのように縫われているのか分からない、不思議な構造の機械を使用して加工をします。その不可思議ついてお話ししたいと思います。

当社の主力商品、アサヒの顔と言ってもいい「フィットカバー」を作る為の工程の一つに、ロックという作業があります。ロックをするミシンを「ロックミシン」と言い、一目ではどのように縫われているのか分からない、不思議な構造の機械を使用して加工をします。その不可思議ついてお話ししたいと思います。
フィットカバーは知っていても、ロックミシンとはなんぞや?という人にも、フィットも含めてロックはなにか!?(ロック?ロックンローラーなミシン?・・何?・・・不思議だ)という方の為に簡単な説明をします。
一言でいうならば、「かがり縫い」をする為のミシンです。なので、普通のミシンと同じように直線縫いはできません。また、1本針2本糸、1本針3本糸、2本針4本糸、等の色々な種類があり、特徴やできる事に違いがあるのですが、ここでは割愛させていただきます(笑)。「かがり縫い」と覚えておいてください。要するに「2~4本の糸を編み込むようにしてヘリに蓋をする縫い方」それがロックの特徴です。
また、通常は生地のほつれを防止するためにヘリをかがりますが、フィットのように厚いものをロックすることのできる機械は沢山ありません。数十年前で言うとダイヤモンドロックというカーペットで大活躍していたロックミシンがありましたが、当社のフィットのように長い距離を高速で縫わないと仕事にならない!という種の業務にはこのロックは合いませんでした。そこで、次に台頭してきたペガサスのロックミシンの特徴が当社の業務にぴったりでした。生地を縫うたびに前に送る「送り」という機工も上下が一緒に動く双送りとなっており、前に生地を引っ張る力がフィットのゴムのテンションに負けないくらい強いものでした。

ペガサス・オーバーロック

ダイヤモンドロック

次に、かがり縫いとはなんぞや?という人の為に簡単な説明を。

かがり縫いとは、フィットカバーの中綿が飛び出してこないように、布端がほつれないようにする縫い方の事を、かがり縫い(布をかがる)と言います。下の図のように包み込むような縫い方になります。

かがり縫いをする為には、針、上ルーパー、下ルーパーという、3種類の糸を加工するパーツがあります。このそれぞれのパーツが動くタイミングを合わせたり、糸調子の調整をしたりと、繊細な調整を必要とするミシンとなっています。特に、タイミングを合わせるのはミリ単位で、とても大変な調整となります。慣れていないころは、一日中、タイミングを合わせるための調整をしていました。それでも終わらず、翌日に持ち越したと思ったら、一瞬でタイミングが合ったりする、とても不思議で難しい調整でした。今では、タイミング合わせも慣れてきたので一日中調整することはなくなりましたが、苦戦することがたまにあります(苦笑)。しかし、調整が上手くいくと、不思議と気持ちよく?なります。当社のミシンの動く速度は専門の業者に言わせても「チョー早い!」そうです。他の業者さんを見てみるとアパレルはそんな長い距離を縫わないし、カーペットは速度を上げては縫いません。フィットは・・・チョー高速で長ーく縫います!そのため、職人さんには「一息で全部縫って!」と指導しているのです。

下ルーパー

上ルーパー

そして、ロックミシンの「ロック」とは、布をロックする(閉じる)という意味になっています。

これでロックミシンという不思議な名前のミシンの事も少しはわかってきたと思います。

修理や調整が難しいけれど、当社のフィットカバーを生産するためには欠かせないロックミシン。今後も日々精進し、ロックミシンの不思議を解き明かしていこうと思います。