小さな わが社のZOOM会議 顛末記(てんまつき)

小さな わが社のZOOM会議 顛末記(てんまつき)

2021年5月下旬、東京に3回目の「緊急事態宣言」が発出されることが濃厚になりました。

当社では、毎年6月の第1土曜日は、本社・工場の主な社員が一堂に会して、全体会議を行っています。1年間の決算報告の後、新しい1年に向けて目標と組織が発表され、これから1年頑張ろうと気持ちを新たにする大切な会議です。

昨年はコロナ禍で泣く泣く中止にしましたが、今年は何としても実施したいと考えていました。しかし、その矢先に「緊急事態宣言」が発出されました。会議の中止・延期も検討しましたがZOOMを使ってリモート会議を行おうと思い切って決断をしました。
とはいえ、ZOOMに対する知識は「社員数名が多少使ったことがある」程度。工場のスタッフは、ミシンの技術は超一流ですが、ITはからっきしダメという人も多く、この決断は無謀にも思えました。ましてや準備期間は10日弱。必死の準備が始まりました。

まず、社員一人一人の自宅のIT環境(Wi-Fiやデバイス)を知るために、アンケートを実施しました。PC、タブレット、スマホを含めると全員がデバイスを用意できることがわかりました。しかし、Wi-Fi環境や、自宅で落ち着いてZOOM会議に参加できる空間があるかということになると少し不安な声も出たため、会社を開放して、会社からZOOM会議に参加してもOKとしました。ありがたい事に本社も、工場も特に工場は多少広い建屋が2棟分ありますが、全域でWi-Fiが使用できるように設備工事が数年前になされていて、リモート環境には最適です。


次に、会議のリハーサルを行いました。
始めてZOOMを使う人も多いため、アプリをダウンロードしてちゃんと使うことができるか?25名、全員が参加しても画像の遅延がおきないか?がチェックポイントでした。

並行して会議の内容も詰めなくてはいけません。特に全体の時間をどうするべきか意見が分かれました。
従来の会議室に集まる会議は、土曜日の午後まるまる4時間を費やします。
しかし、ZOOMではそんなに集中できない。せいぜい40分ぐらいがいいのではないか?という意見や、いやいや通常4時間だから、どんなに短縮しても2時間はかかるのではないか?といった意見。
結果として、1人が発表する時間は5分~10分とぐっと短縮し、項目も減らして、全体で1時間45分としました。

発表する担当者も、それぞれできる範囲で工夫を凝らしました。
営業担当者からの成功事例の発表は、写真などを交えながら事前収録する者。ライブで臨場感をアピールするためにリハーサルを重ねる者。


新しいプロジェクトの発表担当者は、動画編集の技術を駆使して、誰でも知っている動画にアテレコをしてプロジェクトの概要を伝えたり、自作の似顔絵イラストでグループ編成を発表したりと見る人の注目をギュッと集めるインパクトあるプレゼンを用意しました。

そして、会議当日。結果は・・・、大成功でした。
30分前からZOOMに繋げるように準備し、TV番組の収録前の「マエセツ」のように緊張感をやわらげ、ZOOMの使い方をおさらいしました。
タイムスケジュールも、リアルな会議の時よりもスムーズに運び、最後に1人1人にインタビューする時間が作れました。参加した全員がリモート会議をしっかり経験できたのではないかと思います。

また、今回の会議では新しい試みとして、部門(営業・製造・業務・実習生)を縦断して3つのチームを作り、私たちの製品である「Jキルト」を、もっと多くのフィールドで使ってもらえるようにしようというプロジェクトを発表しました。
全員で会議を行った後、このプロジェクトチームごとにZOOMのブレイクアウトルームに移動して、少人数でのミーティングを行いました。今後もこのプロジェクトにリモート会議が使えそうだという手ごたえを感じました。

ZOOM会議を実施して感じることは、
離れていても気持ちは伝わるということです。しかし、それには技術的な準備と、参加者の気持ちを目標に向ける準備が必要だと思いました。
そして、コロナが去ったアフターコロナの世界では、小さな会社の私たちでも、リモートで人と会話することは当たり前になっていくと感じました。そのためのプレゼン技術も身に着けていかなくてはなりません。

でも来年の全体会議は、一堂に会して、連帯感を肌で感じて、時には進行から外れた冗談も言い合い、終わった後は美味しい食事を共にしたいと切に願います。

N.Mさん