0から始めるリペア業務
エピソード01 「0からですが、なにか!?」
ペンネーム:ナツキ・ユージ
僕がアサヒに入社したのは、4年前、関東にも珍しく雪の降った2月でした。通勤が近く、条件が自分に合っていると思って面接を受けに来たことが昨日のことのように思います。製造業であることはわかっていましたが、まさかこんな仕事をすることになるとは・・・あの時の僕には想像もできない事でした。
僕は、アサヒに入社するまでほとんど機械に触れることの無い生活をしていました。それは当然一般的な家電やスマホは使いますが、大きな製造機械の修理や、ミシンの調整などしたことがありません。そんなある日、工場長から言われたふとした一言で僕の業務に「調整と修理」という不可思議な世界が誕生しました。
「ナツキさん!今日からミシンの調整を教えるね!それを覚えたら今度は修理の仕方を機械をばらしながら教えてあげる!!」突然こんな風に言われ、僕の頭の上にはクエスチョンマーク「?」が10個くらい連続で点滅しました。「ミシンの調整って・・・なに!?」キョトンとしている僕を無視して工場長は大きな工具箱をもってミシンの前に座り、ミシンを傾けて倒したかと思うと、あっという間にパーツを外してアルミの小さなバットの上に入れていきます。ネジや部品がカランと乾いた音を立ててバットの上に次々と並べられていき、次の瞬間「カマの剣先が減っているね~」と言いました。訳が分からないまま、「そ・・・そうですね・・・」と相槌を打つが早いか、工場長はサッと研磨装置の場所に行き、部品を削り始めました。これが僕が0から始めるリペア業務の最初の1ページでした。
あれから2年、いまでは、僕が倉庫で仕事をしているとガラガラっと勢い良くシャッターが開いて、「班長!ロックミシンが調子悪いです!」と、ロック業務を始めて間もないパートさんからお呼びがかかります。「きたか・・・」と思いつつもドライバー片手にミシンへと向かい席に着くと、バツが悪そうな顔をしながら「お願いします・・・」と頼まれます。断るわけにはいきません。どんな状態かと調べると今回は短時間の調整で済みそうな不具合でした。針を交換し、上下のルーパーのタイミングを調整して終了。今はロックミシンの調整も慣れてきて短時間で終わることが多いです。
少し前なら、上手くいかずに丸一日調整をしていた時もあり、その時は「無理!だれか代わってくれ!」と心の中で叫びながらメンテナンスをしました。最近ではロックミシンの他にも、バインダーミシン、2本針ミシンのメンテナンスにも携わるようになり、バインダーミシンがずっと調子が悪くミシン屋さんを呼んで講習を受けながら直したときはとても勉強になりました。これからまだまだ腕をあげなければいけないと思いつつ、その成長の記録を今後もアップしていければ、後々入ってくるであろう僕の後継者の一助になるのではと思っています。
※次回は8月15日発行の予定です。お楽しみに!