キルト職人奮闘記 VOL.5
私がアサヒに入社したのは昭和63年9月、今年で31年になります。縫製の経験はありませんでしたが、他にも仕事があると面接時に言われ工場内を見学し、キルティングの機械を初めて見ました。大きなキルティングの機械が3台並んでいたのを今でもはっきり思い出すことができます。1台の機械に二人の女性が仕事をしていました。その時「自分にもできそう!やってみたい!」と思いました。当時は会社まで自転車で数分のところに住んでいました。翌日から出勤ということになり、希望通りキルトの機械オペレーターとして働き始めました。すぐに仕事には慣れましたが、このころの会社の雰囲気になかなかなじめませんでした。
そんなあるとき、先輩たちが次々と退職していくという時期がありました。キルティングマシンのオペレーター助手をしていた私は、あれよあれよという間に補助から主要オペレーターになり、また指導官になっていました。このころは規格品の製造がメインで、特にフィットカバーは毎日忙しく稼働していました。機械のトラブルや失敗もたくさん経験し、乗り越え今があると思っています。
平成になって引越業界だけでなく、多方面からの注文があり、特注品も増えました。私は規格品の製造より、特注品を作っている方が好きなようです。目の前のことだけではなく、先々を見越して計算し、考え、時間を忘れていることにふと気づくときがあります。そんな時、振り返ると一心不乱に作った商品が積みあがっています。次の瞬間、胸の内から静かに達成感の波が押し寄せてくるのです。
私の今のパートナーであり、生徒となっているのは、ベトナムからの技能実習生です。一生懸命に覚えようと素直に、ただひたすらに前向きに取り組む姿に若き日の自分の姿を思い起こします。「仕事が面白い!!」そう返事をする彼女の声に、私の指導員魂が一層燃え上がります。
私もこの今の仕事、キルティングの仕事が好きです。そして同年代の仲間がいたことで以前雰囲気になじめずに不安に思っていた私は救われ、励まされてきました。この年齢になり、今まで働かせてくれたアサヒに感謝の思いでいっぱいです。
ありがとう!
キルト職人 M・Kさん