アサヒはキルトだけじゃない。
私は現在、当社オリジナル製品である「ファニサーブ」や「プラスU」といった商品の営業事務を担当しています。家具やキッチンの引き戸、足の当て材などに使用するゴムやフェルトを抜き加工した製品を販売しています。
営業事務に携わって約10年。昨年、ついに東京にあった工場が千葉へ移転することとなりました。理由のひとつは工場従業員の高齢化です。これまで3名で運営してきましたが、一番若い方でも70歳を超えていました。次世代へ事業をつなげるため、いつかは野田の工場へ移転することが決まっていたのです。
また、工場の機械も老朽化が進み、30年以上稼働しているものもありました。壊れた際に修理すらできないのではないかという不安を抱えながら稼働させていた状況です。そのため、どのような新機械を導入するか長年検討してきましたが、補助金が通る見込みとなり、急ピッチで話が進みました。新しい機械も決まり、正式に移転する運びとなったのです。
しかし、決まってからが本当に大変でした。「何から手をつければいいのか…」と悩む日々の始まりでした。

工場移転計画の主な流れ
- 移転先の選定
既存工場にファニサーブ工場のスペースが確保できるかを確認。建設会社に見積もりを依頼すると予算の3倍以上の金額提示があり、不要な部分を極力削減。そのうえで、耐震や空調など安全面を重視し工事を依頼。 - 解約準備の着手
前年秋の段階で、東京工場の大家さんに翌年7月末で賃貸契約を解約する旨を通知。 - 関連業者の決定
機械移転・処分の業者を選定し、移動・設置日を調整。 - 新工場のレイアウト
旧工場の配置を計測し、材料保管場所を含めた新工場のレイアウトを依頼。 - 新機械の手配・導入
主要メンバーでメーカーを訪問し、操作研修を受講。 - 新工場の工事
倉庫内に中二階を新設し、電気工事を依頼。 - お知らせ準備
移転に伴い2日間製作が停止するため、その案内文書を作成。 - 設備の搬出・移動・設置
旧工場から30台に及ぶ棚を分解・移動し、新工場で再組立。旧工場では並行して製作を行いながら、新工場では機械の調整を進行。 - 旧工場の整理
25年にわたり稼働した工場には不要な型や材料が大量にあり、処分に大変苦労。

その他にも、長年勤めてくださった方への【感謝の会】を上野の東天紅で開催しました。以前、営業担当が急に辞めてすべての仕事を引き継ぐことになり不安だったとき、工場の皆さんには材料や商品のことを丁寧に教えていただき、本当に助けられました。
当日は「明るく送り出そう」と思っていましたが、これまでの思い出や寂しさが込みあげ、涙が止まりませんでした。それでも改めて感謝の気持ちをお伝えできてよかったと感じています。

現在、新しい工場は無事稼働し、新メンバーも加わって積極的に学びながら頑張ってくれています。新しい機械の導入で業務は効率化され、カゴも用意されたことで工場内も美しく整理整頓されました。
今回の工場移転を通じて痛感したのは、「自分ひとりの力では何もできなかった」ということです。社員一人ひとりが役割を果たし、業者の方々も含め多くの人の支えがあってこそ成し遂げられたと思います。
これからも、人を大切に、謙虚な気持ちを忘れずに、仕事に邁進していきたいと思います。

M・Nさん