私の相棒を紹介します
仕事の「相棒」と言われれば、道具や人を思い浮かべる方が多いでしょう。私も、何についてお話ししようかと迷いました。
私たちは縫製作業をしていますから、毎日ミシンやハサミを使います。ですから、間違いなくミシンやハサミは「相棒」です。それに加えて、1つの商品を作り上げるにはいくつもの工程があり、自分ひとりの作業だけでは完成にたどり着けません。共に協力し合う仲間もまた、かけがえのない「相棒」です。さて、どれを選びましょうか…。
私は入社して半年ほどで、バインダー担当になりました。
バインダーとは、キルティング生地の断ち口に布地で作られたバイアステープやストレートテープをかぶせて縫い、ほつれないよう補強する作業です。バインダーミシンを使って、キルティングの縁をテープで包みながら縫い進めていきます。
アサヒの規格セーフティカバーの縁加工には、ほぼすべてにバインダーが施されています。未経験の私にとっては膨大な作業量でした。不慣れなため時間もかかり、注文書を処理するだけで必死です。それに加え、セーフティカバー全種類の在庫を作り、数量を把握しておかなければなりません。必死どころか、もうパニック状態でした。(笑)
そこで、注文書の納期管理と在庫製作の進捗を整理し、いつでも分かりやすくするために1冊のノートを用意しました。
最初は単なるメモのように使っていましたが、試行錯誤を重ねるうちに、次第に現在の書き方に落ち着きました。
リングノートの見開きを上下に分け、上のページには規格布団の各サイズごとのバインダー済み在庫数量と仕上げ作業の担当者名を記入。下のページには注文品のサイズ・数量・納期、さらにバインダーと仕上げの進捗状況を書き記し、現状を一目で分かるようにしました。

どちらのページも、商品が仕上がって梱包場へ持って行ったら✕印や二重線で項目を消すようにしました。このやり方が私にはぴったりで、二重線で消せたときに大きな達成感を味わえたのです。
さらにノートの余白部分には、その他のタスクや思いついたことをメモし、生来の忘れっぽさを補っていました。
このノートは、自分にとっては作業状況が一目で分かる便利なものですが、他の人が見たら「一体何のメモ?」と思うかもしれません。いわば、私の頭の中をそのまま映したものなのです。(笑)
ノートをめくって新しい見開きになると、気持ちも新たになります。こうしてこのノートは、私が育てた“私だけの相棒”になってくれました。
現在、バインダー担当になって6年目。今も5冊目のノートを使っています。

Y・Mさん