【フカボリ企画VOL.2】我々のクラフツマンシップ ~セーフティカバー編~

-我々のクラフツマンシップ「セーフティカバー編」-

-我々のクラフツマンシップ「セーフティカバー編」-

前回の「フィットカバー」に続き、今回は「セーフティカバー」をフカボってみます!
この商品は一見ただのコタツの敷布団に見えるかもしれませんが、中身はいろいろな工夫や技術が凝らされており、長年の経験やノウハウなどが詰まった基幹商品なのです。

業界では「あて布団」「平ぶとん」「養生ぶとん」あるいは「やわら」とも呼ばれる昔からからある商品で、主に家具の運搬に利用されていました。
アサヒが参入した昭和44年当時は、「黒綿」と呼ばれる衣料や裁断くずを再び綿状に戻した繊維を中綿として使用することが多く、弊社も最初は「黒綿」を仕入れて製造していましたが、作業員とキルティング機械は常に埃だらけ。発火の危険も高い劣悪な環境での作業が長年続きました。

それから半世紀後の現在、多くの引越業者、大手の家具販売店や家電量販店、物流業者、工務店またホームセンターなど、幅広い業種の皆様にアサヒの「セーフティカバー」をご利用頂いております。

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持てばすぐにわかる「軽さ」。
畳んでわかる「柔軟性」。
敷く、あてる、すべらせてわかる「操作性」。
そして見てわかる「美しさ」。
これらの機能性はどこから生まれるのでしょうか。

秘密の多くは「綿」にあります。
当社が厳選した3種の原料綿を独自の綿打ち機(製綿機)
をつかって長年の経験から積んだ独自の配合バランスによってブレンド。それを1枚のシート状の綿にして生地との間に挟んでいます。
商品ごとの性格や特性、また季節や湿度などの環境によっても多少の配合バランスを調整するなども行い、年間を通して安定した品質の製品を供給しています。

image2手前味噌的な話にもなりますが、キルト製品を海外から輸入して販売していたり、初めからシート状になった綿を材料として購入して生産しているメーカーは多くあっても原料綿からそれも数種をブレンドし、緩衝性を調整しながら製綿しているメーカーは多くありません。
つまり、この「綿」が本製品を含むアサヒ製品すべてに使用されるいわば「エンジン」なのです。

かつては「黒綿」で生産していた時代もありましたが、緩衝性といった面では多少優れていたものの、現在の大きな利点である「扱いやすさ」・「軽さ」・「柔軟性」・「操作性」には大きく欠けるものでした。特にカバーとしての用途では、重くてかさばる為に不向きであると考えました。そして「黒綿」を卒業したことで、劣悪な環境も大きく改善され、今では多くのお客様に工場に見学に来て頂けるようになりました。

 

「美しさ」にも秘密が隠されています。
それは当社独自の「キルト柄」と「仕上げ工程」に隠されています。
先に「仕上げ工程」からお話しますと、表面に見える糸と糸の一つ一つの目が2つ以上抜けていたり切れている場合はルールとして検査工程から前工程への仕上げ工程に戻されます。かつてはそういった基準が今ほど厳しくない時代もありましたが、耐久性や機能性の向上はもちろん、美観にも配慮したことで、ユーザーも従来の物流業者のみならず、
イベント関連業界や家具業界、ネットショップなどによる一般ユーザーへの普及などがそれを後押ししました。養生資材も裏方の機能性だけの存在ではなく、景観の一部や什器等の一部になる「見せる養生」へと進化しているものと考えます
そのために、アサヒとしては従来より3倍ほど仕上げに時間を費やしているのです。

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「キルト柄」もまた、美観や機能性に一役買っていると考えます。

一般的にキルト柄というと「オニオン(ひょうたん)」柄などの波型模様や、四角い模様の「ダイヤ(スクエア)」柄などが多く使用されていますが、アサヒでは糸同士の交差の多いダイヤ(スクエア)型をベースに、より交差する点を増やし美しく見えるよう独自のカスタムセッティングをしています。

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それはアサヒ独自のキルト柄で、糸同士の交差点を多くすることでほつれに強い、またほつれた場合は交差点がブレーキの役割をおこなって糸抜けを止めるような機能にもなっています。また中材の綿を効率よく小さい部屋に分け、綿のズレを細かく防止することによって、商品全体にムラのない均一な弾力や緩衝性も確保しています。

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縁取りのパイピングテープは80mm幅のメタリックグリーン色を長年使用しています。
紺色のトロピカル生地に描かれる特殊なキルト柄と、グリーンの縁取の組み合わせが、美観にこだわった「セーフティカバー」の特徴です。

このようにして発売から進化を遂げ、現在も品質や生産の規定を日々見直しながら当社の基盤を支える存在となり、今では7つのサイズバリエーションを揃えています。
使用されるお客様のご意見やご要望に沿って、より扱いやすく、使いやすいものへと変化していきました。
オーダーメイド(特注)対応のベース素材としても活躍し、多くのユーザー様に高い評価をいただいています。

しかし、「ものづくり」において終わりはありません。
単に「あて布団」といえ、お客様の仕事を支える良き相棒として「あって良かった」「なくては困る」というように存在感を示していけるよう、これからも皆様の「使いやすさ」や「便利さ」を追求し続けていきます。

今回のコラムを通して、既に使われている方、興味を持たれた方、
是非とも我々の「クラフツマンシップ」をお感じ頂けたら幸いです。

H.Hさん