【フカボリ企画VOL.1】商品の誕生秘話 ~フィットカバー編~

商品の誕生秘話【フィットカバー編】

-商品の誕生秘話「フィットカバー編」-

会社設立の3年後(昭和44年)に千葉県の柏市、現在は流山おおたかの森駅の近くに、キルティングの生産工場を構えました。当初は家具業界向けに「平あてぶとん」の供給に追われる毎日でしたが、昭和50年代にはいると仏壇用のカバーの注文も増え始め、様々な形状に対応する為に言われるがままにラインナップを増やし、ついには製造側にも把握が困難なほどの種類になっていました。「また種類が増えてしまう・・」当時の工場長は、毎日数センチ違いの製造に追われ気塞ぎな日々を送っていました。
そんな折、お客様から「数種類を1枚でかけられれば便利なんだけどなあ・・」と言われた言葉で閃きました。「そうだ!伸びるキルティングはできないだろうか!?」と。
当時40種類の特許を持っていた発明好きの先代社長と、器用でモノづくりに長けた先代の工場長(実弟)の2人の研究と戦いが始まりました。

画像1「フィットカバー」の開発はキルトマシンの改良の連続でした。組んではバラし、バラしては組んで、新たな部品を付けてみたり、足りなければ部品の調達に探し回る。毎日が戦いでした。ゴムを入れて縫製するという当時では荒唐無稽にも近い製造法にキルティングマシンのメーカーも閉口していました。「そんなことをしては負荷がかかり過ぎて機械が持たない!無茶だ!」と繰り返し言う彼らも、そのマシンから出来上がる商品を見るにつれて、その伸縮性という特異性の価値を理解したのか、徐々に協力的な対応に変わっていきました。

商品開発への拘りはマシン設計だけにはとどまりません。多種多様なゴムを試してようやく現在に至る最初のコールゴムにたどり着きました。ゴムのテンション(引きの強さ)を全て均一にすること、縫目を細かく設定することでキルトの強度を出すことなど、様々な試みを繰り返し、失敗を数多く乗り越えながら、いまの原型となる「フィットカバー」が完成しました。

画像21982年(昭和57年)6月25日特許出願
1984年(昭和59年)1月6日特許登録(公告番号:特公平3-9020)
*商品名は「ハイパット」として1999年に商標登録

他社のWEBに、大手物流会社の社員により発案されて出来上がったと掲載されていますが、発案だけでは簡単に商品化出来ない事は誰にでもわかる常識であり、根拠のない噂話を事実のごとく掲載すること自体が無責任だと思ってしまいます。
なぜなら商品開発という生みの苦しみは、モノづくりに携わる人間であれば誰もが熟知しており、そうして生み出された商品は業種を問わず賞賛すべき事だと思うからです。

「早く綺麗に」「誰にでも梱包出来る」という商品の特性は、引越業界では確実にウケるはずと思ってはいたものの、見たこともない大きな腹巻のような商品には、「こんなもの使えない」「商品が傷つく」「作業性が悪い」など取り入ってもらえず、普及までには思っていた以上に時間を要しました。
ゆっくりではあったものの口コミで拡散していきましたが、中でも高い評価を頂いた日本通運の広島支店様での導入が起爆剤となり、引越専業のサカイ引越センター様の導入も決まり、一気に全国へとその評判が知れ渡ることになりました。

その後も、社内で様々な品質規定を設け、品質の向上、生産効率の向上を目指して現在のスタイルになっていきました。当初からのアサヒオリジナル規格として設定した「長さ」(110サイズ・80サイズ・50サイズ)と「太さ」(Lサイズ(黄色)・Mサイズ(赤)・Sサイズ(緑))は今でも変わらぬ規格サイズとして継続しています。

発売から40年以上経ち今では多くの類似品が出回っておりますが、国内生産量1位を長年維持し続けていることは、品質において多くの皆様にご支持いただいている証だと信じ、スタッフ一同誇りを持って仕事をしております。
今後も皆様と一緒に改良や試作を繰り返し、限りなく品質の向上を目指していきたいと思っております。

K.Nさん