キルト職人奮闘記 VOL.8
わたしは茨城県の農家に生を受けました。真面目な両親は朝早くから夜遅くまで、時には夜なべをして農作業をして家庭を切り盛りしていました。わたしは小さいころから農業の手伝いばかりで、それがすごく嫌でした。
高校を卒業して進路はどうするかと悩んでいた折、家の手伝いをしてほしいという両親の思いもあり、2年間、洋裁学校に通うことにしました。これがわたしとミシンとの出会いでした。
今まで48年間ずっとミシンに携わる仕事ばかりをしてきました。「違う仕事もやればよかった」と思った時期もあります。しかし、入学式、ピアノの発表会など、家族の折に触れての洋服づくりにこの経験は役に立ってくれました。特に自分の結婚式のドレスを手作りし、そのドレスを直して娘が結婚式に着てくれたことは、言葉で言い表すのが難しいくらいうれしい出来事でした。洋服づくりは、一人一人サイズが異なり、それぞれのデザインを考え作る楽しみがあります。やっぱりミシンの仕事がよかったかな!?
アサヒに入社してびっくりしました!細かいゴムギャザーの入ったフィットカバーに驚き、綿を作っていることにびっくり、大きなキルティングの機械に圧倒されました。あっという間の19年間です。
仕事の内容によっては不器用でできない事もあります。特に繁忙期のキルティングローテーション(*1)はとても苦手です。
今はゴミなどを捨てるにもお金がかかります。アサヒの製品は布、生地などで作っているので何度も使用可能で洗濯もできますし、修理も可能です。ある時、修理に持ち込まれた製品を見て「え!こんなになるまで使ってくれるんだ。さらに修理してまだ使うんだ!」と長く大事に使ってくださっているお客様に対して感謝するとともに、新しい製品が届けられることを願わずにはおれませんでした。
最近ではベルトの縫製が中心の業務です。ベルトの種類によってはヒートカット(*2)の際に独特のにおいがあります。周囲の方に迷惑をかけているなと思いますが、この仕事がある限りついて回る難題です。この度、換気扇を設置することになりました。環境整備に励んで発展し続ける会社になるように貢献をし、健康で働き続けたいと思います。
H・Hさん
キルティングローテーション*1:機械を止めずに、従業員がローテーションで休憩に入る作業。
ヒートカット*2:樹脂のベルトの熱裁断機によるカット。