60年の信頼を形に。特注製作への情熱。
「信頼を縫い上げる」 キルトメーカー営業という仕事
静かにミシンが動く工場の音 。そのリズムは、どこか安心感を与えてくれます 。規則正しく刻まれる針の動きは、まるで60年という歳月そのものを象徴しているかのようです 。
Jキルトのメーカーにおける営業という仕事は、この「音の先」にある価値をお客様へ届ける役割を担っていると私は考えています 。目の前にあるのは一枚のキルティングかもしれませんが、その一針一針には、歴史があり、技術があり、そして作り手の想いが込められているのです 。私たちが扱っているのは、単なる製品ではなく「信頼・安心」そのものに他なりません 。
歴史が息づく「自社製造」へのこだわり
創業60年という歳月は、単なる時間の積み重ねではありません 。そこには「お客様との信頼」が幾重にも折り重なっています 。
私は工場へ足を運ぶたび、その歴史を肌で感じます 。海外生産が主流となる現代において、あえて国内に自社工場を持ち、綿から製造する「品質重視」「手作り志向」という昔からの思想を守り続けてきました 。価格競争に走るのではなく、信頼という価値を優先して判断を積み重ねてきた背景こそが、私たちの誇りです 。
営業としてお客様のもとへ伺うと、ふとした瞬間にその歴史の重みに触れることがあります。「昔からずっとこのカバーを使い続けているよ」というリピート注文のお声や 、大切に保管された数十年前の古い製造依頼書を手渡されたとき 、先代たちが築いてきた確かな絆を実感せずにはいられません。

トラブルこそが、真の信頼を築くチャンス
しかし、60年の歴史は決して平坦な道ばかりではありませんでした 。私自身、営業として大きな試練に直面したことがあります。
2024年の春、私たちの不手際により、物流現場で使用される「モッコ(吊り具)」の製造ミスが発生してしまいました 。納期は差し迫り、お客様の業務を止めてしまいかねない緊急事態です。
このようなトラブルのときこそ、営業の真価が問われます 。私はすぐに現地へ向かい、お客様に直接お詫びと説明を行いました 。現状の工程を包み隠さず正直に共有し 、できない理由を探すのではなく「どうすれば最短でリカバーできるか」に全力を注ぎました 。
誠実に向き合い続けた結果、最終的にはお客様に深く納得いただき、「ここまで対応してくれるなら」と、その後は継続的なリピート案件をいただける関係へと発展したのです 。希望されていた厳しい納期に間に合った際、お客様からいただいた「ありがとう」という言葉は、今も私の心に強く残っています 。
次の60年へ、私が残したい「志」
私たちが引き継ぐべきは、技術や実績だけではありません 。それ以上に大切なのは、お客様の「こうしたい」という想いに寄り添い、形にする「姿勢」です 。
私が後輩たちに伝え、自分自身も一番大切にしていきたいのは「信頼構築力」です 。
• 相手の真のニーズを汲み取る、「聞く力」
• 不安を安心に変える、「スピード対応力」
• そして、関わるすべての人への、「感謝を伝える力」
これらは特別なスキルではないかもしれません。しかし、お客様の立場で考え、人としての誠実な関係を築くことこそが、数ある企業の中から「あなたにお願いしたい」と選ばれる唯一の道だと信じています 。
60年という歴史は、ゴールではなく通過点です 。これまでの実績に甘えることなく、自分自身もまた「未来への先人」になるという意識で、今日の一件に情熱を注いでまいります 。お客様のニーズに私たちのノウハウをプラスした、世界に一つだけの価値を創り出すために 。

T・H

